※当記事は2025年1月の内容です。
家族信託に取り組みたいという専⾨家の相談を受けることが多くあります。⾼齢者に対する認知症・財産管理対策として、家族信託をこれまで取り組んでいなかった専⾨家も、⽣前対策として必要不可⽋なツールとして多くの⼠業や専⾨家がこの分野に関⼼を持ち、取り組もうとしています。
しかし、いくら知識を学んでも、実際に家族信託を受任し、実務経験を積まなければ、家族信託を使いこなし、顧客に役⽴つ提案ができる⼠業・専⾨家にはなれません。
本記事では、専⾨家として家族信託の取り組みを始める際に本当に必要なステップについて解説していきます。
家族信託に取り組む⼠業にとって最も重要なことは何か?
家族信託に取り組みたい⼠業や専⾨家として最も重要なことは何でしょうか?それは「集客をし、受任すること」です。どれだけ書籍やセミナーで多くの知識を得たとしても、それを実際の案件で活かさなければ価値がありません。家族信託は新しい分野ということもあり、専⾨家が執筆する書籍でも信託法の条項の解釈について、専⾨家ごとに異なる解釈をしているケースがあります。家族信託に関する裁判例も少しずつ公開されつつありますが、最⾼裁レベルのものはなく、実務運⽤も固まっていません。
私も学んだ知識をもとに、⾦融機関や法務局などとの信託に関する運⽤⽅法など、実際の実務経験を通じて、信託法の理解をさらに深めていくことができました。そして、その経験をもとに⾯談やセミナーを重ね、さらに経験を積むことで⾃信を深め、顧客に対する説明もスムーズにできるようになりました。
このように、実務経験を積むためには、まずは集客をし、受任し、実際の業務に取り組むことが、何より重要です。
知識がなければ始まらない、不安だとまずは学ぶことを優先しがちですが、⼀番重要なのは⾏動し、経験を積むことです。特に家族信託のような新しい分野では、知識を学ぶだけでなく、実際に受任して初めて得られる学びも多いのです。
⾯談時に求められる知識とスキル
⾯談を成功させるために、家族信託に関する法務や税務の知識は必要ですが、その全てを完璧に理解する必要はありません。むしろ、最低限の概要を押さえていれば、⾯談は⼗分に進められます。家族信託普及協会が提供する家族信託コーディネーターや家族信託専⾨⼠の研修を受け、家族信託の概要を理解していれば問題ありません。
⾯談時にわからない質問を受けた場合は、「後ほど調べてご回答します」と伝えれば良いのです。その場で全てを解決しようとする必要はありません。むしろ、顧客にとって重要なのは、相談に乗ってくれる⼠業が信頼できる⼈物であるかどうかです。そのため、顧客との信頼関係を築くことが最も重要です。
実務経験を積むための最初のステップ
家族信託を学ぶ⼠業にとって、最も重要な課題は「どうやって⾯談の機会を得るか」です。どれだけ家族信託の知識を深めても、実際に顧客に提供する場がなければ意味がありません。そのため、まずは集客の⼿法を学び、⾯談の場を作り出すことが不可⽋です。
家族信託の実務経験を積むためには、最初に⾯談の機会を増やすことが必要です。そのため、⼠業としてはウェブサイトやブログ、SNSなどを使った情報発信や、地域でのセミナー開催、異業種交流会への参加など、あらゆる⼿段を使って⾃分の顔を売り、集客活動を⾏うべきです。
集客し、実際の案件を受任するための⽅法
家族信託の案件を受任するためには、まず集客を⾏う必要があります。⼀般の顧客向けにセミナーを開催することは⾮常に有効な⼿段です。セミナーは家族信託についての基本的な知識を広めると同時に、顧客との接点を作るための場でもあります。
また、⾯談の経験が積み重なると、次第に⾃信がついてきます。家族信託に関する知識の詳細については、案件に取り組む中で必要に応じて学べば良いのです。そのため、まずは集客活動に⼒を⼊れ、顧客と直接向き合う場を増やしていきましょう。
専⾨家向けと⼀般向けのセミナーの違い
家族信託の知識を深めるためには、⼀般顧客向けのセミナーと専⾨家向けのセミナーが異なる役割を持っていることを理解することが重要です。⼀般の顧客向けのセミナーは、家族信託の基本的な概念をわかりやすく伝えることが⽬的であり、そのためには最低限の知識があれば⼗分です。
⼀⽅で、専⾨家向けのセミナーを開催するには、より詳細な知識と実務経験が求められます。そのため、最初の段階では⼀般顧客向けのセミナーに集中し、経験を積んでいくのが効果的です。
受任には信⽤が不可⽋
家族信託の受任において、⾯談の成功の鍵は「信⽤の構築」です。知識の提供だけではなく、顧客が安⼼して話をできる環境を作り出すことが重要です。そのためには、顧客の話に⽿を傾け、共感し、顧客の希望や不安を丁寧にヒアリングすることが求められます。
信頼関係が築ければ、細かい質問や疑問についても、顧客は⼠業に対して安⼼して任せることができます。⾯談時に全てを解決する必要はなく、「専⾨家を紹介する」「調べて後ほど連絡する」といった柔軟な対応が信⽤を⽣むのです。
私も、初回⾯談ではすべてを解決するための⽅法は伝えていません。顧客からヒアリングした内容をもとに次回提案するという形で進めています。家族信託に取り組み始めた当初は、知識経験不⾜であったこともあり、家族信託の概要と解決できることくらいしか話ができなかった時期がありました。それでも、次回提案までの時間で、より詳しい情報を調べて提案書にまとめて、顧客に提案するということを繰り返していました。その調べる過程で、より詳しい知識と経験を積み重ね続けることで今に⾄っています。
まとめ
・どれだけ知識があっても、実際の案件を経験しなければ役に⽴たない
・⾯談の際には家族信託の概要を理解していれば⼗分
・わからないことは後ほど調べて対応する
・集客活動に⼒を⼊れ、⾯談の機会を増やすことが必須
・信頼関係の構築が⾯談成功の鍵
家族信託に取り組む⼠業にとって、知識以上に重要なのは「集客し、実際に受任すること」です。知識を蓄えるだけでは顧客の役に⽴てないため、まずは集客活動を通じて⾯談の機会を作り、実務経験を積むことが必要です。
⾯談の場では、家族信託に関する概要を理解していれば⼗分ですし、わからないことは後ほど確認すれば良いのです。⼤切なのは顧客との信頼関係を築き、安⼼して任せてもらえる⼠業になることです。
まずは⼀歩を踏み出し、家族信託の集客と受任の場を作り出しましょう。最初の⾏動は⼩さくても、その⼀歩⼀歩がやがて⼤きな成果につながります。顧客との出会い、信頼関係の構築、そして実際の受任を通して経験を積むことが、⼠業としての成⻑の基盤になります。また、失敗や困難に直⾯することもあるかもしれませんが、それも成⻑の⼀部です。重要なのは、その経験から学び、次に⽣かしていくことです。⾏動することで、初めて実務経験が積まれ、真に顧客に役⽴つ⼠業として成⻑できます。⾏動が、顧客に安⼼と信頼をもたらし、家族信託の専⾨家としての道を切り開くことができます。まずは、⾃信を持って第⼀歩を踏み出しましょう。